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CERN/LHCについて
CERN(欧州原子核研究機構)は西ヨーロッパのほぼ中央に位置するスイス・ジュネーブの郊外にある研究所です。 郊外と言ってもトラム(路面電車)で街の中心から20分程度の距離にあり、空港からも20分程の距離です。 ジュネーブには様々な国際機関が集まっていますが、このCERNは国際機関の代名詞的な存在です。1954年に設立されたこの機関はEUを母体(メンバー国)としていて、日本や米国などはオブザーバー国として参加しています。 実験等のユーザーの利用に関してはオブザーバー国も全く同じ立場にいます。CERN自体もそうなのですが、 そこで行われている大型素粒子実験も国際色が強く、世界中から優れた研究者が集まって切磋琢磨しています。 まさに科学者の世界のオリンピック、CERNはいってみればオリンピック会場の選手村のようなものです。
CERN

LHC加速器は世界最高エネルギーの衝突エネルギーを誇る陽子陽子衝突型加速器です。 これから数十年、LHCのエネルギー のエネルギーを超える加速器が地球上に作られることはないです。つまり、エネルギーフロンティアの素粒子研究を したければLHCが唯一の解であるということです。LHCの衝突エネルギーは14TeV(2013年までは8TeV, 2015年に13TeVに上がり、その後様子を見ながら14TeVまで上げます)、円形の加速器で写真左にあるように、周長は約27km、地下約100mに写真右のような2本のリングが敷き詰められています。
LHCRING LHCInside
ATLAS実験について
LHC加速器の複数ある衝突点には4つの大型検出器が設置されています。それぞれ目的とする物理研究のために 設計されています。アトラス検出器(実験)はその中でも特に大型のもので、直径25メートル、長さ44メートルの 円筒型をしています(下図)。高エネルギーの陽子を検出器の中心で衝突させ、発生した様々な粒子のエネルギー、方向、種類を測定します。
ATLAS
図にあるように、内部検出器と外側のミューオン検出器には強力な磁場がかけられていて、荷電粒子をローレンツ力によって曲げます。その曲率から運動量を求めることができます。内部の検出器では荷電粒子の飛距離はせいぜい1m その間にどれだけ曲げられたかを測定するので、検出器内の通過位置を高精度で検出する必要があります。 陣内研究室では、この内部飛跡検出器であるシリコン半導体検出器(アトラス第2段検出器にあたるSCT)の グループのメンバーグループとして飛跡検出に貢献しています。また、この飛跡検出器の高度化(アップグレード)に取り組んでいます。詳しくは別頁で紹介しています。
この巨大なアトラス実験ですが、世界中から集まった科学者・技術者の総力によって造り上げられています。 38カ国、178の大学・研究機関が参加しています。実験の学術論文には約3000名の名前が載ります。日本からも 全国から16機関(約100名)が参加しています。東工大からは陣内研と久世研が参加しています。
グループは綿密に組織されていて、全ての参加メンバーが国や年齢・性別関係無しに、日夜 研究活動に明け暮れることができるよううまくできています。 なかでも大学院生の活動は非常に重要で、大学院生の活躍なくしてはこの大型実験は動きません。 陣内研の学生も年間数度の海外(CERN)出張は当たり前です。国際研究ですから、会議は全て英語 で行われます。日本にいるときにはインターネット会議につないで、世界中からの参加者とリアル タイムに議論します。 また陣内研には国際大学院生もいますので、研究室ミーティングも英語で行っています。
陣内研究室 (TokyoTech)