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超対称性粒子探索
EW生成のチャンネル
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アトラス物理解析
LS1半ばの現在、我々はRUN1のLHCデータ(2010-2012)が標準模型を非常によく支持している こと、ヒッグス粒子は見つかったものの、性質測定の結果まさに標準模型ヒッグス粒子そのもの のような振る舞いをしていることを確認しています。また新しい物理の兆候はRUN1からは 確認されませんでした。果たして、このまま標準模型以外のものは いつまでも発見できないのでしょうか?
陣内研では答えは「否」であると考えています。動機・理由は様々ですが(暗黒物質問題、階層性問題、 電弱強3力の統一)、難しいことはさておき、それ以上に「何か新しいもの」があった方が圧倒的に実験としては 楽しいからです。
RUN2 sensitivity
この図は2012年のLHC衝突エネルギー8TeVが, 2015年以降増強されて13TeVになったとき、 同じ数の衝突事象発生が何倍の意味をもつのか、つまり新しい物理現象の発見に対してどれほど 感度が向上しているかを表しています。その生成に必要となる質量、つまり新しい物理のエネルギースケール がTeVスケールを超えて上がると急激に感度が上がっていることがわかります。つまり、新粒子・新事象など 「重いもの」の発見ポテンシャルが2015年以降一気に上がることを意味します。
標準模型から逸脱する物理をBSM(Physics Beyond Standard Model)と呼びます。陣内研のアトラス 実験における主な研究テーマはBSMです。 新しい物理が見つかれば取り合えずモデルは何でも構いません。BSMを探す人は大まかに分けて 超対称性モデルに沿って取り組んでいる人と、余剰次元等とにかく超対称性以外のモデル(アトラスグループ ではExoticsと呼んでいます)が好きで取り組んでいる人に分かれます。
陣内研では、超対称性探索に軸足がありますが、特にこだわりなく、探索自体が楽しいチャンネルに 取り組んでいます。
SUSY XS
この図にあるように、実験としては多く生成される可能性が高いチャンネルから優先的に 見ていきます。第1,2世代SquarkやGluinoの生成チャンネル、次に第3世代と攻めてきました。そして 今はまだ統計的に十分ではないですが、EW(電弱)生成のチャンネルもターゲットになってきています。

陣内研ではいわゆる力技による超対称性(SUSY)探索の王道(多数ジェット+消失エネルギー)ではなく、 個人技のアイデア勝負となる、特徴的な信号を捕まえるチャンネルを主に扱っています。現在、EW生成を 扱ったチャンネル、長寿命SUSY粒子の崩壊事象、高運動量2光子を伴うSUSY事象などに取り組んでいます。 研究室の人数状況によってはもう少し広く展開することも考えています。 EW feyn ATLAS及びCMSがlight及びheavyフレーバーのsquark生成探索を徹底的に進めていますが、 いまだに超対称性粒子発見の兆しが見られません。そこで、生成断面積は低いものの、 ゲージーノ対生成チャンネルが本命(自然のとる正解)なのではないかと期待が高まってきています。 陣内研では早くからこのモードに着目し、アトラスグループ内で研究を進めてきました。 ゲージーノ対生成の中でも、質量値もほぼ測定から判明したヒッグス粒子を崩壊チェーンの 中に仮定したものがこれまで見落とされていたチャンネルとして有望視されています。
g-2実験の最新の結果によると、理論計算と実験結果が最終的に3σ以上ずれていることが示されて いますK.Hagiwara et al., published in J.Phys. G38 (2011) 085003 。この状況もゲージーノが軽いことによってうまく 説明がつくことが示されています。この研究では、これまで探索されてきたWZモードではなく、WHモード を見ることによって、これまで誰も気がついてなかった領域を探索しています。 EW limit
この図は2012年のデータを用いてWZ崩壊モード100%を仮定したときに、得られる超対称性粒子質量の 95%信頼度下限値(=赤い実線。探索の結果見つからなかったので、もし存在したとしても その線より高い質量を 持っているはずという、限界ラインを表す)です。WHの存在を仮定するとその下限値が過大評価している 可能性があることを示しています。
現在はHiggsからの崩壊としてττのモードを担当しています。今後bbやWWなどへ 拡張することも視野にいれています。
現在、博士課程の学生が取り組んでいます。 DV この研究は超対称性モデルに限らず、幾つかのBSMが予言する、長生きをする 新粒子の性質に基づいています。通常の標準模型粒子であれば生成後すぐさま 崩壊します(崩壊しない安定なものを除いて)。その時間ではたとえほぼ光速で 移動したとしても数μmも飛べないため、ほぼ生成点=崩壊点と考えてよいのです。 (中には長生きする標準模型粒子の種類もあります) アトラス検出器はそのようにビーム軸上で発生して、放射される粒子を捉えること を優先して設計されています。そのためアトラス検出器で長生きする粒子を 検出するには工夫が必要です。
またこのような特徴的な信号を捉えることで、直接的に標準模型を超える物理の 探索が可能になります。図の例では、長生きした未知中性粒子が内部飛跡検出器中で 崩壊し、ビーム軸から離れた地点に2次vertexを形成しています。このような 2次vertexを観測し、その数や分布を標準模型で予想されるものに比べて、超過が ないかどうかを検証します。
この解析では、実はSCTの物質量測定で用いている解析ツールと手法が共通です。 中心から離れた位置での崩壊(2次vertex)がしっかりと検出・再構成できることが この研究の肝にあたる部分です。
現在、博士課程の学生が取り組んでいます。 これは陣内が趣味的に続けているチャンネルです。SUSYモデルの一つであるgauge mediation の一般化したモデルGGM(General Gauge Mediated)シナリオをベースに、2つの高運動量 光子、そして大きな消失エネルギーのある事象をひたすら探すという解析です。
陣内研究室 (TokyoTech)